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遠くて近い

 

海外に住んでいる友人から、たまにメールが届く。

今日はイランに来ていますと、テヘランの町並みの写真付きで。

絵葉書でももらった気分で、異国の写真を見て彼女の日常を思う。

でもこの友人、よく考えると生涯に2,3回しかお会いしたことがない。

メールのやり取りだってここ数年の内に5回ほどだ。

でも、僕の心のなかにちゃんと居場所がある。

なぜだろう?

彼女の人との関わり方にとても丁寧な、昔の日本人が他者に持っていたような敬意が感じられるからだろうか。

それとも日本とテヘランと遠く離れていることが、ある深さの心の結びつきにリアリティを与えてくれているのだろうか。

あるいは、お互いの人生に向き合う姿勢や、心の内に持っている静けさの質が似ているのかもしれない。

いずれにせよ、若いころにはできなかったこういう距離での人との関わりがとても清々しくて心地よい。

歳を重ねるにつれて、こんな風に自分の心の中の辺境に住まわせて、時々お互いを気にかけるような大切な人が増えていくのだろうか。

だとしたら、それはとても豊かなこと。

 

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