村上龍がTV「カンブリア宮殿」の200回記念だかのインタビューで、
「最も印象に残っている経営者の言葉は?」と聞かれて、
ヤマダ電機の山田社長の言葉で、「小さな街の電気屋をやっていた時が一番幸せでした。」みたいな言葉を挙げていた。
「でも、その頃に戻りたいとは思わないでしょ?」と社長に尋ねると、
「いや。戻りたい」と返ってきたのだそうな。
「今の方が大変だけど戻りたいとは思わない」的な答えを予測して問うたら、「戻りたい」と来た(笑)
びっくりしてしまって、一番印象に残っているのだとか。
その言葉を200回目記念の場で、印象に残った社長の言葉として取り上げる村上龍もどうかと思うが、でもなかなか考えさせられるテーマだな、と思う。
「幸せ」をゴールに人生を設計すると、意外に簡単にそれは手に入るのではないかと思う。
少しの知恵と「足るを知る」ことで、それは可能だ。
でも、チャレンジだったり、自分の力がどこまでの人間なのかを試したいという衝動だったり、人生のゲームとしての側面が、その「幸せ」に退屈し、先に進ませようとする。
そして、それを思う存分戦っている最中も、それによって高みに登ったとしても、ゲームから降りなかったという正解感はあるにせよ、当人が予想していたとおり、その高みにあるのは「幸せ」ではないのだろう。
だから、戻りたいかといえば戻りたい。
正直な言葉だと思う。
人は魂の奥底では、幸せになりたい、などと思っていない。
自分を使い果たしたい、と思っている。
山田社長も、もし過去の小さな電気屋に戻れたとして、しばらくその幸せと安心の上でくつろいだら、また節操もなくチャレンジを始めるのではないかと思う。
あるいは、「ほらやっぱりあの電気屋で十分幸せだった」と、それを言うためだけにでも、ここまで来た意味はあるのではないかと思う。
「あの頃が一番幸せだった」
名誉ある言葉だなと思う。
自分が妥協の道を選んでいた事に気がつきました。内面のスイッチが切り替わった気がします。参考になりました。ありがとうございます。
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