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信頼に足る流れ

 

久しぶりの東京。3日間の学びの時間。

今、僕が夢中になってる心理療法「ファミリー・コンステレーション」の創始者、バート・ヘリンガーの来日ワークショプ。

彼はもう90歳だから、これが最後の来日になるかもしれない…と、勝手にそう思って迷わず参加を決めた。

ちゃんと会って、見て、薫陶を受けて、彼の偉大な仕事が創りだした流れを引き継ぎたいと思ったのだ。

その目的は3日目に達成された。

セッションの代理人をする中で、彼が扱っているエネルギーを身体を通して体感した。

それは良質な瞑想であり、老子の言うタオの完璧な実践だった。

思考を手放す中で身体は勝手に動き、セラピーにおいてどのエネルギーの流れに従うべきか、そしてそれに従った時にどのような安らぎと祝福を感じるのか、それが身体の通じて経験され、神経に記憶された。

仙人のような目をした90才のヘリンガーと魂で対話した。

3日間のワークショップの後半にヘリンガーはシンプルな一言に加えて言った。

「…それが、ファミリー・コンステレーションの秘密です。」

その言葉の意図がよく分かった。

 

最後に「2つ質問があるんです。」という参加者の1つ目の質問に答え、そして「もう一つは…」と言う質問者に静かに首を振り、席に戻るように促した。

「2つ質問があるという人は本当には1つも質問が無い人です。だから私にも答えは無いのです。それがこの感動的なセミナーの最後です。

そして私の観察では、ここにいる多くの方は大切なモノを受け取ったようです。必要なことは成されたのです。」

そう言って満足そうに、90歳の老師は好奇心旺盛な目で参加者を見回していた。

とても言葉の少ないワークショップで、時には休み時間に参加者同士が感想を言い合うことも禁止された。

思考で理解しようとすることは体験の質を表面に浮上させてしまうだけで、本当には受け取るための助けにはならないし、他の人達が魂で受け取るプロセスを邪魔することにもなりかねない。

今は頭が空っぽで胸から丹田にかけて熱く充実していて、そこにヘリンガーのいくつかの言葉が響いている。

自分がヘリンガーのような仕事をするのは何十年先になるだろうか。

でも、今の流れに従っていればその先にどのような世界があるのか、その可能性の片鱗は見えた気がした。

ワークショップの中盤、男性性と女性性についての話の後で「どうすれば、本当の男になれますか?」と質問をする若者に、ヘリンガーは嬉しそうに微笑みながら、ゆっくりと諭すようにこう答えた。

「私は今では90歳になりました。

ようやくあなたの言うゴールが見えてきたところです。

私は90年生きたのです。

そして、その経験のどれも失いたくはないのです。

分かりますか?」

彼から受けたものがこれからどのように形になって現れるのか、楽しみでならない。

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