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見えないものに色を塗る

 

毎回3月のこの時期になると、カウンセリングに訪れるクライントさんと、

「今日は暖かいですね~。」とか、

「昨日は暖かかったのに今日は寒いですね。」とか、

「三寒四温ですね。」とか、

「奈良では東大寺のお水取りが終われば(3月14日)暖かくなるって言われてるんですよ。」とか。

「そういえば毎回確定申告をギリギリ(3月15日)に提出してるけど、その帰り道に本格的な春到来を実感してますね。」とか、

毎回毎回、そんな話をしています。

春って愛されていますね。

毎年同じ、この時期の微妙な季節の移り変わりの感覚を話題にしては、春の訪れを待つわけですが、

こうして40年も生きていると、春夏秋冬の季節の変わり目も40回体験しているわけで、

そうなってくるともう分かってくるんですよね。

ああ、これね。これ知ってますよって。

この感じでしょ。3月15日的な空気感。

隅々まで青空が広がっていて、車で移動すると車内の熱気に軽く汗ばんで窓を開けたくなるけど開けると黄砂と花粉が入ってくるやつね。

で、助手席に脱ぎ捨ててあるジャンバーが大げさな鎧みたいでちょっと滑稽に見えるんですよね。そうそう。知ってますよって。

40回も体験するとそれに愛着すら感じられるものです。

今年も来たか…って思うんです。

そして、またそれが過ぎると、

はいはい。3月24日的なあれね。もう桜さくかなー的な浮かれる感じね。

大地や草木から蠢くような生命力を感じつつ、卒業式の帰りの袴着た女子大生を街で見て「ウォッ!」って心の中で変な声出すやつね。あぁ。知ってる知ってるって。

それぞれの感覚が愛おしくて、

ほんの数日ごとに微妙に移り変わっていく景色や匂いや空気感を捉えて味わって愛でるわけですが、

そうしていると、『春夏秋冬』の4つだけでは名前が足りなくなってきて、

それに不満を感じるようになるんですね。

そこで「四季」ではなく「二十四節季(にじゅうしせっき)」の出番です。

暦が24に細かく別れる。

「春」という一つの季節も「立春」「雨水」「啓蟄」「春分」「清明」「穀雨」の6つに別れる。

それなら今の季節にしっくりと名前をあてがって心に保存することができる。

季節が豊かになる。

そして、もっと歳を取って60歳くらいになったら、「七十二候(しちじゅうにこう)」ですかね。

60回も季節の移り変わりを生きると72に分けても感じ取れるかもしれません。

「あぁ、この感じ、雀始巣(すずめはじめてすくう)やなぁ」とか。

「あぁ。これこれこの皮膚感覚。蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)やなぁ」とか…、

言わないか(笑)

でも、そうやって季節の中に今まで感じられなかった違いが感じられるようになり、

見えなかったものが見えるようになり、それぞれに名前があてがわれていく。

日々の彩りが歳を重ねるごとに豊かになり、その日その日に名前を与え、惜しむように愛でる感じ。

いいですねえ。

若いころには見えなかったものを見て、感じられなかったものを感じる。

歳を取るというのも意外に良いものかもしれません。

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最近はこの本をトイレに置いてて時折ページを開いて、その時の感覚と旬を絵と文字で確かめています。

そうすることで、二十四節季や七十二候という区分が自分の中にできていきます。

すると今度は、その区分を持つことによって外の世界の見え方が変わっていくんですね。

そうやって自分の心象世界を豊かにバージョンアップしています。

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ちなみに今は二十四節季では「春分」

七十二候では「雀はじめて巣くう」だそうです。

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2 Comments

ちゃんあやこ

春分の日生まれの41歳です。こちらのブログ好きで読ませていただいてます。私は幼い頃から季節の移り変わりを眺め感じるのが大好きです。この頃は、同じ時期でも毎年違う、その違いを面白く観ています。41年生きていても同じ春の色は一度もないんだと思います。

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コメントありがとうございます。春分の日生まれの41歳ということは、同い年ですね! (学年は僕のほうが1つ下だと思います。)

嬉しいものですね。

こうやって何度も春を実感できて。深まっていくのが良いですね。

ブログ。また遊びにしてくださいね。

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