久しぶりにエルヴィス・コステロを聴いた。やっぱり良い声だなと思う。
ワイルドさと少年のようなナイーブさが同居している。
思えばブラッド・ピットにしろ、ジョニー・デップにしろ、男の持つセクシーさとは、ワイルドさ(野生)とナイーブさの同居にあるのではないだろうか。
いや、なにもセクシーさに限ったことではない。
自分の中に相容れない2つの徳を同居させること。つまり自分の内側に矛盾を内包させること。
それを人は「魅力」と呼んだのではないか。
古くはストア派の哲学者達もまた、対極にある2つの徳を同居させた状態を『アナコルキア』と呼び称賛した。
大胆にして繊細で
厳しいが優しくもあり
自信に満ちているが謙虚で
クールに見えて温かく
高尚でありながら野蛮さもある。
もしそんな人が存在すれば、きっと僕らはその人の虜になることだろう。
1つの極みを体現するその人を見て、その人を理解したと思った途端にするりとすり抜けて、もう1つの極みへと移行して姿を変えていく。その内面のダイナミックな運動こそが『魅力』というもの。
事実、「魅」という漢字は「もののけ」や「 迷わす」というような意味を持っている。つまり掴みどころの無い怪しさというようなニュアンスを示しているわけだ。
もしかすると、僕らが取り入れなくてはいけないのは、今手を伸ばして求めているそれではなく、その対極にある何かなのかもしれない。
豊かさを求めているなら、同様に清貧を求めてみてはいかがだろうか。
ポジティブを求めているなら、同様に陰影を求める。
人との友愛を求めるならば、同様に孤独を求める。
良薬口に苦し。もしかしたらそれは想像だにしなかった薬効をあなたの精神にもたらすのかもしれない。
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