最近の執筆活動の中で随分助けられていて、無くてはならない存在になりつつあるのがこの本。
天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々
モーツァルト、フロイト、カフカ、トーマス・マン、ピカソ、サルトル、アシモフ、ナボコフ、イエーツ、フェリーニ、マルクス、サティ、などなど。
歴史に残る小説家や画家、作曲家、映画監督など、161人の創作のための習慣ばかりをピックアップした本。
1人につき2、3ページで紹介されている。
読んでみると分かるけど、朝型の人もいれば夜型の人もいる。
立って書く人もいれば、完全にベッドに横になって器用に書いていた人(カポーティ)もいる。
散歩を習慣にする人が多いが、酒や煙草で健康を蝕みながら書いていた人(J・P・サルトルなど)もいる。
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最近なぜか朝型人間になっている私は、目が覚めると朝日の入る部屋で机に向かい、バロックミュージックを流して、まずはこの本を手に取るようにしている。(文章にすると、なんだかとてつもなくカッコ付けてる感があるが…(笑))
ペラペラとページをめくりながら何人かの創作習慣を読んでいるうちに、自然に文章を書く気分になってくる。
偉人達の創作現場で繰り広げられたであろう格闘(決して派手ではない日々の静かなる格闘)に想像力を広げていると、自分の日々のルーティンと向き合うことがそれほど嫌ではなくなってくる。
そうやって本を読んだ後に入っていく集中モードがある種独特で、日本的な集合意識からするりと抜け出したような軽さがあって、とても気に入っている。
意識が自由で、言葉が流れやすくなるのだ。
だから、常にデスクの上にこの本を置いて、疲れたらパラパラと読むようにしている。
こうやって自分の状態管理をしているわけだ。
このようにある特定の意識状態にチューニングして、いつでもその想念世界を呼び出すせるようにするには、
いくつかの要素を固定することがポイントになる。
まず1つは場所。
どこで仕事をするかによって、そこで受ける氣の質が固定される。
方角、窓や太陽との位置関係。それらによって微妙に感覚が変わる。
試しにいろんな場所で仕事をしてみると、この仕事はこの場所が合う、というような特徴が分かってくるものだ。
そして固定するべきもう1つの要素が時刻。
午前中には午前中、夜には夜にうってつけの仕事がある。
そして同じ午前中でも細かく感じてみると、微妙に違う。
例えば私にとって掃除は、朝の氣の中でやると宇宙と調和したような正解感があるが、それは早朝ではない。
9時~12時くらいがぴったり来る。
それ以上早い時間は身体を動かすよりも、意識を静かに内向させるような静謐な空気感がある。それは創作のためのものだ。
外側の世界がその時に発している氣の質と、自分の仕事を調和させると、かなり深い(こういう言い方が許されるならば「スピリチュアルな」)充足が得られる。
仕事をすることで体力は消耗するのだが、気持ちは充足する。
そしてもう1つ使えるツールが音楽。
その時に必要な想念世界に意識をチューニングするのに、音楽はお手軽かつパワフルなツールだ。
アーティストによって召喚できる世界の波長が違うので、自分に今必要な波長を持ったアーティストを選んで意識を調整することができる。
更にもう1つが、先に上げたように「本」だ。
『天才たちの日課』を読んで海外の偉人の習慣に触れることで、日本の集合意識から抜けだして、偉人達の創作の世界に意識を結んだように、
本から得られる世界観と氣を借りることができる。
そうすると、独特のリズムを持った言葉が流れてくるし、書くことを通じてその世界の氣質を文章に反映させて、それを読者に届けることができる。
妙なこと言っているように聞こえるかもしれないが、そのような人生の作り方もあるのだ。
場所、時刻、音楽、本、などを使って氣と想念世界をコラージュのように織りなすことで、独自の意識場を作り、その中で仕事をする。
そうすると、その場の感覚がやがて形になって現実生活に立ち現れる。
大切なのはある独特なフィーリングを長期的に保ち続けるための方法とツールを持つこと。
ここではないどこかへと行くためのツールだ。
あなたはどうだろうか。
あなたが内的に静かに研ぎ澄まされて充足するような、特別なフィーリングに入っていくには、
どこで、どんな時間に、どのような音楽が合っていて、そしてどのような本がその世界に招待してくれているのだろうか。
先人達の偉大な作品が、様々な想念世界への門を開いていてくれる。
そしてあなたが望めば、その世界に行ってそこの氣を受けて仕事をすることができる。
天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々
この本は本当に清々しいほどにクリエイティブな氣を発する本なので、文章を書く人やなにかしらの創作の習慣を作りたいと思う人にはお勧めします。
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